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「・・・っ」

大きく見開いた目は見慣れた天井を映した。
それでも先ほどまでの恐怖に、辺りを見回し、漸く現実世界に帰ったのだと判るとほっと溜め息をついた。

部屋には秒針だけが規則正しく時を刻む以外物音一つない。
ベッドサイドの時計は三時を指していた。

はあ。と大きく息を零し、髪をかき上げると、額は汗で濡れていて、頭皮にまで流れ込み髪の毛までもがしっとりと濡れていた。



悪夢を見た。
子供の頃から見続けている夢。
何か得体の知れないものに追われて、ただ逃げ惑うだけの夢。
最後には縋った光さえも瞬く間に粒となり消えていく、不思議な夢。

具体性は全くないけれど、恐怖に目が覚めてしまうのはいつものことだった。


ごろりと横になるけれど、なかなか眠気はやってこない。
むしろ目が冴えてしまった。

「ああ、もう・・・眠れねえ・・・・・・」

ふと視線に携帯電話が映った。
何気なく手に取りメモリを開けば一番に登録してあるのは、恋人の名前。

「起きてる、かな」

暫しの逡巡の後、通話ボタンをおせば、容易くコール音に繋がった。


いつもなら、独りでやり過ごしていたけど、今は、今夜は違う。
きっとビックリするか、嬉しがる声で電話に出るに違いない。

悪夢も、たまにはいいかもしれない。


「あ、薫?起きてた?・・・・・・なんて声だしてんだよ」


こんなふうに、ちょっと彼を驚かす事ができるのならば。

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コメント
無題
楽しく読ませて頂いてます!!薫亮にはまったのが遅かったり、そもそもサイトが少なかったりで寂しいですが、ここでいつもエネルギー補充してます!!また作品書いて下さい!!!お願いします!!!
【2011/06/14 23:52】 NAME[タマ] WEBLINK[] EDIT[]


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