短文置き場
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「うう・・・ん・・・」 PR
「よ!ハセヲ」
カオスゲートに転送するなり、メールの相手が声をかけてきた。 「クーン」 相手、クーンは片手を上げて笑む。 「どした、お前が相談なんて珍しいな」 「うん、ちょっとな」 「で、話って?」 カナードの@HOME。 今は皆出払っているのか、ログインしていないのか俺達以外は誰いなかった。 ソファに座るなり、クーンが本題を持ち出してきた。 こういう時、こいつは頼りになる。 絶対茶化したりしないから。 これが大人っていうものなのか(一部例外はあるが)。 「あのさ・・・クーンって、したことある?」 「何を」 「いや、だから・・・・・・」 思わず口篭ってしまう。 いくら仲の良いクーンでも、そんなプライベート(というか寧ろプライバシーに近い)な事を聞くのは躊躇いがある。 その俺の反応にピンときたのか、急にクーンがにやにや笑い出した。 ・・・嫌な予感がする。 「おおっ!そうか~。ハセヲもついにその気になったか!!」 「え?」 「うんうん!で、相手はいるのか?ん?」 「あ・・・いや、そうじゃくて、」 「ああ!アトリちゃんか!違う?じゃあ志乃ちゃん?それともタビーちゃん?まさかパイ?!」 急にいきいきとしたクーンは俺の話など全く聞かず一人で盛り上がっている。 「違うし、人の話は最後まで聞・・・」 「あ・・・!もしかして、相手いないとか。そうか!!だから相談してきたんだな。そういうことならまかせとけ!!美人から可愛い系まで好きなタイプを紹介してやるぞ!」 「違うって言ってるだろ!!」 思わず立ち上がって叫んだ俺にびっくりしたのか、クーンは体を仰け反らせていた。 ・・・選択肢を間違ったのかもしれない。 勢いよくソファに座り込むと、我に返ったのかクーンも姿勢を正した。 「・・・お前、あっちの経験あるのかって聞いてんだけど」 「セックスだろ?この歳で未経験はちょっと痛いだろ」 「あるのか」 「あるよ」 「じゃあさ・・・」 ここで暫しの間があいた。 そもそもこいつに聞いてよかったのだろうか。 無類の女好きが男同士の事を知ってるとは思えない。 でも、悲しいかな相談できるのはこの男だけだ。 「男同士で、ヤッたこと、ある?」 そう訊ねた直後だった。 ドターンと激しい音をたてながら、クーンがソファから滑り落ちた。 「おい、クーン!!大丈夫か?!」 そう声を掛けるものの、当の本人は唖然とした表情のまま動きが止まっていた。 やっぱり、選択肢は間違っていたんだ。 呆けたクーンを見下ろしながら、俺は深く溜め息をついた。
「う~ん」
俺は悩んでいた。 薫と付き合って三ヶ月。 手も繋いだ。 キスも経験済み。 でも、その先ってあるんだろうか。 女との方法は、保健の授業で習って知ってる。 試した事はないけど。 でも俺も薫も男で。 構造上、女のように体が出来てるわけじゃないから、どうやってもその先へは進めない。 そもそもそういった行為は種子保存や子孫繁栄の為であって同性同士では行ったって何の意味もない。 けど、この燻った感情を、欲求を持て余しているのは確かで。 だから先があるのなら、知りたい。薫の熱を感じたい。 「でも、やり方が解んねぇんだよな」 調べようにも、何をどう調べるのかすら解らない。 かといって誰かに聞くのも嫌だ。 唯一、話せるのは・・・・・・・。 携帯を開いて、その人物にメールを打つ。 幸いにも返事はすぐ返ってきた。 現在ログインしているらしく、カオスゲートで待つ。と書かれていた。 携帯を閉じて、M2Dを手にPCの電源を入れると、俺はすぐさま起動された『世界』に飛び込んだ。 夕暮れ時。
「…………」 「んな顔するなって……明日も会えるだろ」 違うよ。 明日も会えるんじゃなくて、明日まで会えないんだよ……。
キミのいないリアルはつまらない。
そんな想いはやっぱり伝わらなくて、キミはリアルへと、現実のキミへと帰って行く。
携帯がメール着信を知らせた。
送ってくる相手は一人しかいない。
たったの6文字だけど、それだけで十分。
「おやすみ……亮」
また、明日。と。 |
カレンダー
フリーエリア
最新記事
(01/13)
(01/13)
(11/16)
(11/12)
(11/09)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
季咲
性別:
非公開
ブログ内検索
|