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そこには、朔が仁王立ちで立っていた。
エンデュランスと一緒にいる時には絶対に見せない、最高に人を見下した表情を浮かべて。

「ハセヲォォ・・・よっくもウチのエン様をぉぉぉ」

理由は分からないがどうやら俺に対して何か怒っているようだ。
とは言っても、朔とはいつ会っても良い顔をされた事がない。
大方エンデュランス関連なのだろうと考えるまでもないのだが、予想をつけていると正にその通りだった。

「さっきなぁ、エン様からメールの返事がきたんや」
「へぇ、良かったじゃん」
「ふふん!ウチとエン様の間には、ハセヲなんかが入れん深い絆が・・・ってそれは後回しや」

エンデュランスから返事が返ってきたのがよほど嬉しかったのかニヤニヤしだした朔だったが、それも束の間の事でまたすぐ眉間に皺が寄りだした。

「ハセヲォォォ・・・アンタ、ウチの・・・ウチのエン様に手ぇだしたんか!!!」
「・・・・・・は?」
「しらばっくれてもアカンで!エン様のメールに書いてたんや!!ハセヲと身も心も一つやって」

青筋を立てながらにじり寄ってくる朔は今まで見たこともないほどの凶悪な顔をしていた。
そう、まるで夜叉のような表情で、さすがの俺もたじろいでしまった。

「説明してもらおか。『身も心もひとつ』の意味をなぁ~」
「ま、待て・・・・・・」
「ハセヲォォォ・・・ようもやってくれたなぁ」
「何かの間違いだろ」
「エン様が嘘ついた言うんかぁ!このドくされがぁ!!」
「い、いや、そうじゃねぇけど」





「アンタ、エン様抱いたんか!!!!」














「・・・は?・・・・・・抱く?」

それは自分でも素っ頓狂だと思うくらい間の抜けた声色だった。
それにつられてか、朔も夜叉から通常の顔に戻る。


暫しの沈黙の後。


何を言うでもなく、俺の顔や体を検分するかのようにまじまじと朔の目玉が忙しなく動いていた。
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